「 星の光 」

――こんなに、近くて こんなに、遠い

★ ★ ★

星の囁きが聞こえてくるような、 そんな静かで穏やかな夜。
ボクはそっと窓を開け、 少し冷めた夜の空気を部屋に招き入れた。
吹き抜ける静かな夜風は、 まるで街の穏やかな寝息の様だ。

ボク達は二人、肩を並べて座ると 真っ黒な夜空を見上げた。
少しずつ夜の闇に目が慣れ、 ぼんやりと小さな無数の光粒が見えた。
今まで街の明かりに霞んでしまっていた、
小さな小さな星の光。大きな星に小さな星。
白い星に黄色の星、赤い星に青い星。
目に映る星々は、どれ一つ取っても同じ物は無い…

――ゆっくり、星を見上げるなんて久しぶりだな…

様々な想いが交錯し激闘の末に終幕した、 バトルシティがもう随分前の事の様に思える。

本当に…色んな事があったな。 多くの出会いよって、数々の熾烈な闘いが起こり。
けれど、その度に今では 大切な思い出も生まれていった。
そう、その沢山の思い出と絆が、 「記憶の世界」でも、 もう一人のボクを勝利へ導いた…

そして、もう一人のボクの 記憶探しの旅が終わりを告げた。

『アテム』

それが、『もう一人のボク』の… いや、『彼』の本当の名前だ。

けれどボクは、隣に居るアテムに 『もう一人のボク』と呼び掛けた。
それは慣れ親しんだ親愛の呼び名であり、 ボクの悪あがきなのかもしれない。
それでも彼はいつもと同じ様に微笑んで、 ボクを『相棒』と呼んでくれる。
ボクは、そんな彼の優しさに 甘えているのかもしれない…

――こんな穏やかな夜が、ずっと続いて欲しいと想いながら…

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以下、「続き」は『星の光』本編をお楽しみ下さい♪
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