「人魚の涙」


『オレは、永遠に、お前と共に居たい・・』

―あの日の『願い』に、変わりは無い


★ ★ ★


今日は朝から一日中ずっと雨だった・・
外に遊びにも出られないし、幸か不幸か、
いつもは、しぶしぶやる家の手伝いすらも特に無し。
ボクはめったにしない、部屋の片付け等をして暇を潰していた。
真っ暗な押し入れや、古いタンスの引き出しの中からは、
がらがらと壊れかけた玩具や、ピカピカ光る
ビー球や、懐かしいボクの思い出達が、沢山顔を覗かせていた。
ボク以外の人から見れば、きっとガラクタばかりだろう。
「確か、この辺に・・・あったと思ったんだけどなぁ〜・・」
一度探し出すと、何だかビックリ箱みたいで楽しくなって、
片付けというよりは、半ば宝捜しの様だった。
「なあ・・相棒。」
そんな他愛も無い冒険をしていたボクを現実に引き戻す声がした。
「この前の杏子とのデート、 どうしてお前が行かなかったんだ?」
一瞬、ボクの心臓が止まった。

――そう、この『現実』からの呼び声が・・

「それは・・・」
彼の問いかけは、正しかった。

――今のボクには・・

「ほら!!最近、キミ元気無かったから、 杏子と話せば元気出るかなぁ〜って!!」
『いつも通り』をすればする程、 心が軋み、笑顔がひび割れていく。

――辛かった。

「それは「相棒が元気の出る方法」だろ・・」
そう問う、もう一人のボクは何処か寂しげだった。
「・・・・確かに・・・キミの為だけじゃなかったのは認める・・・」
彼に背を向けたまま、 ボクは拗ねた子供の様な返答をしていた。

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以下、「続き」は『人魚の涙』本編をお楽しみ下さいませ♪
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