「スノードロップ」



昔々のお話しです。

神様は色々な物を作りました。
空も海も木々も・・・・。
そして世界中のものに色をつけたそうです。

空には抜けるような青。
海には深い深い蒼。
木々には緑や黄緑。
花には色とりどりカラフルに・・・・。

けれど「雪」は透明で色をもらえませんでした。


その理由は「冷たい」から・・・。


雪はいろいろなものに声をかけました。

「どうか、僕に色をわけてください」

けれど冷たい雪は皆から嫌われ色をわけてもらえません。


「僕はずーっと透明なんだろうなあ・・・・。」

悲しそうに呟き諦めかけたそのとき小さな声がしました。

「よかったら・・・・私の色わけてあげますよ?」

嫌われ者な自分に話し掛けてくれたのは小さな小さな白い花でした。

「君は・・・?僕に話し掛けていいの?僕は嫌われ者だよ?」

悲しそうに聞く雪にその花は

「だって悲しそうだったから・・・・それに私は貴方を嫌いではありませんし・・私の白い色でよければどうぞ?」

とても優しくそう言ってくれました。

雪は少し驚いてそして

「ありがとう」

と優しく暖かい声で言いました・・・・。






「だからね?雪は白いんだよ〜わかった?もう一人の僕。」

遊戯は楽しそうに千年パズルに宿るもう一人の自分に話し掛けた。

「・・・相棒・・・その花は・・なんだったんだ?」

幽霊みたいに半透明で宙に浮いてる遊戯そっくり(ただし遊戯より目つきは鋭くまとう雰囲気は冷たいが)の少年は遊戯にそう聞いた。
話を聞きながらずっとその優しい花の名が気になっていたらしい。

「花?ああ、えっとね〜スノードロップっていうんだよvv」

「スノードロップ・・・・」






ファラオという地位にいた自分。

なによりも王としての態度を優先させられる日々。


仕方がないと思っていた。
それが自分の宿命なんだと。



命を狙われ王座の奪い合いがおき・・・
誰を信じていいのかわからなかった日々。
感情さえも捨て去り自分の全てと引き換えに国を守ることを願わざるをえなかった少年・・。


最後には神官の裏切りにあい殺され・・・・死ぬんだと思っていた。

暗い闇の中瞳を覚ますまでは。




「・・・・ここは・・どこだ・・・・・?」

呟き起き上がる。
冷たく闇が広がる空間。

「俺は・・・生きてるのか・・・・・・?」

答えどころか音すらない。
永遠の闇の中・・只一人・・・・。

「何故俺は一人なんだ・・・・・・・・いや、生きていても誰も信じるに値はしなかったか・・・。」

誰が聞いてるわけでもないが声に出さないと闇に捕らわれて抜け出せなくなりそうで。



「生きたい」

と強く願ったわけではなかったが諦めたところで自分の魂は消滅する・・・そんな気がしていた。

ゆっくりと闇の中を歩き出す。
絶望の中、一筋の光を手探りで探しながら。


どれくらいそうしてあるき続けただろう。
なかば諦めかけたそのとき一筋の光が差し込んできた。
そして・・


「君を受け入れてあげるよ。闇から出ておいで?」

と優しい声を聞いた。

「誰だ?!」

警戒する俺に声はかまわず続ける。

「僕は遊戯。僕が君を受け入れるからそんなとこで一人で泣いてないで?」

「・・・・残念だったな、遊戯・・・ここからは出られないぜ。」

「大丈夫だよ!!光で道を照らすから・・・諦めないで!!」


あの声がなければ俺は今ここにいない。
あのまま闇の中をさまよい続け、いつかは消滅していただろう。


相棒の声と光に導かれて・・・俺は相棒の「心の部屋」に辿り着いた。



そこには太陽みたいな笑顔を浮べる「遊戯」がいて

「よろしくね?」

と言って手を差し伸べてきた。





誰も信じなかったはずなのに何故か俺は相棒の手を取っていた。








「ね〜どうしたの〜?さっきから黙り込んじゃってさ!!」

その声にはっと顔をあげると心配そうに覗き込んでくる相棒と目が合った。

「いや・・・スノードロップは相棒だなと思っていただけだぜ?」

俺の言葉に相棒は凄く不思議そうに首をかしげている。
そのしぐさが可愛くて相棒ににやりと笑みを浮べてから

「絶対に教えてやらないけどな☆」

と答えた。

「え〜!!!教えてよ〜!!!もう一人の僕〜!!」

「絶対に教えないぜ!まあ・・・悪い意味ではないから安心しろよ?相棒?」




こんな日々が楽しいと思う。
些細なことで怒ったり笑ったり。
無くしたはずの感情はちゃんと心に残っていたらしい。

闇の中あてもなく歩いていた俺に光を差し伸べてくれたのは相棒だった。


普通他人を心に踏み込ませることはそうそうできることではない。


それをあっさりやってのける強さ。
他人を気遣える優しさ。

相棒が話した「スノードロップ」の花と同じだと思う。


多分スノードロップの花も強かったのだろう。
嫌われ者に色を分けるなんて下手すれば他の者から自分まで嫌われてしまうのだから。

けれどそれをやってのける優しさ・・・そして自分の思いを変えない強さ。





「やっぱり・・・相棒は似ているな。」

「だから〜!!なんで・・・・・・あ!ね!僕がスノードロップならもう一人の僕は雪なの?」

相棒が楽しそうに聞いてくる。
俺は相棒の意図してることがわからないままに

「ああ・・・・そうだな・・・。」

そう答えた。

「だからって何が・・・・?」

俺の質問に相棒は初めて会ったときの眩しい笑顔を浮べてこういった。




「あのね、スノードロップと雪のお話しには続きがあるんだ。
スノードロップから色をもらった雪は冬の間中スノードロップを守っているんだよ!
だから君も僕をずーーーっと守っていてくれるんだよね?」
「当たり前だろう?雪はずっとスノードロップを守ってるぜ?相棒。これまでも・・・これからもな。」

俺の答えに嬉しそうに笑いながら

「でも!僕も出来る限り君を守ってあげるからね!!雪なもう一人の僕?」

などという答えを返して来た。





お前がいつまでも強さと優しさを失わないように俺は守っていよう。

初めての俺にとって「信じて守るべき者」なお前を・・・・。


・・・・いや、互いに互いを守っていよう。

スノードロップと雪がそうしているように・・・・・・。



END



この小説は月城 氷流様より頂きました。



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―― 感謝の言葉――

「雪」な闇様と「スノードロップ」な表君・・素敵でした・・・(悦)
やっぱりW遊戯君達はお互いに支え合っている「ベストパートナー」ですね〜♪

氷流様!!この度は素敵なW遊戯君小説を有難う御座いました!!(感謝)
あの・・よろしければ、また小説頂きたいです・・・(「強欲の壷」発動中!!)
それでは短いですが、これにて「感謝の言葉」とさせて頂きます。


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